翌朝、トレッキングに必要な物だけをバックパックに入れ、徒歩でドゥルー(Dourou)を出発。と言っても、ノンボリ(Nombori)まで目に見える道があるわけではなく、かすかな踏み跡を辿るような感じ。うーん、これは地元ガイドの案内無しでは絶対に迷うなー。
しばらく進むとやがて平原が突然終わり、断崖の裂け目にあたる急な下り坂が現れます。
ちょ!すごい傾斜なんですけど!いきなりこんな所降りるの?ていうか登る時どうすんの?死ぬかも。。。orz
へっぴり腰で恐る恐る裂け目の急坂を下る私。見るとダヴィドもピーターも涼しい顔ですたすた先へ進んでいます。おーい、待って~(T_T)
するとダヴィド曰く「私達が子供の頃は崖の上にしか学校がありませんでした。だから崖下の子供達は毎日通学のために、この断崖を登り降りしていたのですよ」
こ、子供達が毎日500mの断崖を登り降り!?ドゴンの生活ってどんだけアドベンチャー?
などと面食らっていたところ、崖の中腹で突然視界が開けて目の前に断崖と砂漠の雄大なパノラマが!!おおお、これは凄い!
こんな絶景を拝めたというだけでも、徒歩で来た甲斐があったというものです。
「ここからノンボリの村がよく見えますよ」とダヴィドが言うんだけど、どこだろう?
良く見たら、向かい側の断崖の手前にネギ畑が見え、その隣の斜面に集落がありました。あれがノンボリか!もうひと頑張りだ!
やがて崖を下りきって木々に囲まれた豊かな平野を横切ると、人々が青々としたネギ畑を熱心に手入れしているのが見えてきました。所々に大きなバオバブの木が立っていて素敵。そして外人がやってきたと見るや、大勢の子供達が寄ってきて手を繋いできます。
あっという間に子供達の手で両手がいっぱいになったところで。。。
なんだろう、
なんか懐かしい感じがする。
そういえば昔もドゴンの子供達ってこんな感じだったっけ。無邪気に寄ってきて、黙って手を繋いで、どこまでも一緒に歩いて。
どうして7年も経ってるのに、しかも全然違う村なのに、何も変わってないんだろう。
あれからサハラ砂漠が舗装され、バマコへの道も整備され、田舎の街でもATMが使えるようになって、西アフリカは確実に近代化しているのに。。。
まるでドゴンの村だけ、永遠に時が止まっているみたいです。
■ ノンボリ新規学校建設プロジェクト
ピーターは到着するや、そのままダヴィドの案内でノンボリの学校に直行。現在ノンボリにはひとつ学校がありますが、小・中学校を兼ねているため非常に手狭です。そこでオランダの支援団体が募金を募り、ノンボリに新しい学校を増設するプロジェクトがスタートしました。今回、ピーターはその仲介役を担っています。
「私はオランダの子供達から、ノンボリの子供達への手紙を預かってきているんだ。まず、それを配らないとね。それから、ここの生徒の顔写真も撮影する事になってる。手伝ってくれるね?」
そう言ってピーターは、教室の子供達を順番に呼んで、オランダからの手紙を一枚ずつ手渡してゆきました。私は撮影班としてスタンバイ。どの子も、初めてのポートレート撮影に、はにかんだ笑顔を見せて可愛らしかったです。
それから現地の校長や教師陣と共に、新しい学校の建設予定地とされる土地を下見。
「えーと、新学校の予定地はここだったと思うんですが」「いや、あっちだったかな?」などと、校長先生含め 非常にアバウトな感じでナイス。うん、この際どこでもいいんじゃないかな。
何しろノンボリときたら、どこを見ても迫力ある断崖がそびえていて絶景ですから。
今回の訪問で一番重要だったのは、ピーターが携えてきたオランダ側からの質問書に対して、ノンボリの学校関係者から回答を貰うことでした。ノンボリ側の窓口は誰なのか?最低月一回はメールで連絡をとれる体制があるか?建設に必要な石材の準備にどの位時間がかかるか?施工開始後の進捗管理は誰が行う事になっているか?完成後の校舎のメンテナンスはどのように計画されているか?
どれも先進国だったら当たり前の内容ですが、電気も水道もインターネットもないノンボリでは難問です。学校建設に関わる10余名が会議室に集い、ああでもないこうでもないと頭を抱えてしまいました。そうなると見越していたピーターは、あれこれ助け舟を出しつつ、2時間くらいかけてなんとか回答をまとめる事に成功。お疲れ様です。
※追記:それにしても、ノンボリの人々にとってはメールのやりとりだけでも大変だと知ってちょっと衝撃でした。最寄りのネットカフェはバンディアガラの街にしか無いからです。ノンボリから徒歩で崖上のドゥルーへ登り、ドゥルーで誰かの車に乗せて貰って20km離れたバンディアガラへ行くのは往復2日がかりの大仕事。うひー。
そんな辺境の地ノンボリでも、携帯電話だけは繋がるというのが不思議。。。
■ ノンボリおすすめ宿情報
ノンボリには3~4箇所のカンプマン(宿)がありますが、中でもCampement Baobabはイチオシです!
斜面のかなり上のほうに建っていて、そこまで登るのが大変なのですが、その分見晴らしはドゴン屈指のベストビューで、ピーターも絶賛。背後にバンディアガラの断崖、そして正面には地平線まで続く砂漠を眺めることができます。
最初は付近の村のカンプマンを泊まり歩く予定でしたが、「よその村に行っても、これ以上眺めの良い宿はないだろう」という結論になり、ドゴン滞在中はずっとCampement Baobabを拠点にしていました。
宿泊は一人2000CFA/泊で、人数に応じた食事を注文できるほか、ミネラルウォーター等の販売もしています。オーナーのダウダ氏は非常に誠実な男性で村人の信頼も厚い人物。イッサの友達でもあります。ノンボリを訪問する際、ガイドか村人に「Campement Baobabに行きたい」と言えば案内して貰えます。