水に囲まれたモプティは、別名「マリのヴェニス」とも呼ばれる水の都です。到着した初日から、イッサの顔ききであちこちのホテルの年越しパーティをハシゴしたりして大変賑やかな年明けを迎えることができました。
さらに、モプティ滞在中はずっとイッサの豪邸に滞在させて貰う事に!なんとお手伝いさん達が食事の支度からお洗濯までしてくれるゴージャス生活です。。。
毎日のようにピーターと一緒に川沿いを散歩したり、イッサのオフィスまでPCを持ち込んでWiFiを使わせて貰ったり、モプティの港を一望できるカフェでのんびりしたり。
「だんな、ドゴン観光はお決まりですか?みやげ物買いませんか?」と寄ってくる連中も、
「あいにくだが、そういう事は全部イッサ・バロに任せとるよ。我々は彼の客人なんだ。」
「イッサ・バロの!。。。これは失礼しました」
モプティではそんな事が何度もありました。それほどイッサは街中の人々に愛され尊敬されているのだということが、私にもだんだん分かってきた。すごい人徳だ。
で、ワゴンRの件ですが。。。ピーターとイッサは折にふれて商談をしていたようです。2人の会話はすべてフランス語だったので、ピーターが最初にどんな金額を提示したのか知りませんが、ある日イッサがワゴンRを試乗する事になりました。
モプティの街をワゴンRで一巡りしたイッサは開口一番、
「僕は最初ピーターから電話を貰った時、クルマを買う気は無かったんです。でも実物を見て気が変わった。こんなに可愛くて、運転が楽で、エアコンまで付いてるなんて素晴らしい。ぜひ、奥さんにプレゼントしたいと思いました。僕が引き取りましょう。」
うわぁ、嬉しい!こちらはイッサのつてで知人のバイヤーを紹介して貰えるだけでも御の字だと思っていたのに、まさかイッサ自らワゴンRを引き取ってくれるとは。アフリカの人はクルマが壊れるまで乗り倒すのが普通ですが、イッサは違います。彼の所有している何台もの車両は、どれも本当に手入れが行き届いていました。
ううう愛しのワゴンR、おまえ本当にラッキーだなあ。良かったなあ。(T_T)
「だけどピーター、あなたのオファー金額はちょっと厳しい。僕としては。。。このくらいで」
と、ピーターに電卓を渡すイッサ。
「いやあイッサすまん。私もちょっと高かったかと思って反省したんだ。この金額でいいだろう」
「では商談成立ですね!」
固く握手を交わす2人。
え?え?何?何?いくらに決まったの?
私としては興味津々なのですが、ひとたびワゴンRをピーターに託した以上は、2人のビジネスマンの取引に首を突っ込むわけにはいきません。この取引によりピーターは利益を得、私は貴重な車両売却のプロセスを体験する事ができるのです。ちょっとワクワクしてきた。
帰り道、川辺の並木道を歩きながらピーターが一言、
「イッサはピー(自主規制)ユーロで買ってくれたよ」
な、なんですってえええ!?あのワゴンRにそんなすごい価値が!!?
いや違う。ワゴンRがすごいんじゃなくて、ピーターとイッサの2人が凄いんだ。。。
うちの子の真価を見抜いてくれて、本当に有り難う。