ロシア語とほぼ同時進行でフランス語の勉強中だったりします。といっても仏語教材の音声の聞き取りを繰り返すというレベルですけど。そこで、せっかくだからフランス映画をと思って久々にアメリを観ることにしました。
この映画は大好きで、何回も観てます。暖かい色合いでまとめられた映像とか、話の運び方が絶妙だとか、そういう見せ方の技術的なところも素敵なんですが、なんといっても魅力は主人公アメリの個性的な"戦略"の数々でしょう。
彼女は他人の幸せの手伝いには驚くほど大胆なのに、自分のことについては臆病で全然ダメ。そんなわけでアメリの周囲の人々はどんどん幸せになっていくんですが、本人は自分に対して何もしない、というか自分のこととなると空想の殻に閉じこもって現実を見ようとしません。
傍から見てるとアメリは物凄くアンバランスで、他者と自分の接し方に大きなギャップがあります。周りの人にイタズラなおせっかいを焼きまくるアメリ、それだけ行動力があるなら自分のことも同じようにしたらいいのに、と思うけど、彼女にそういう勇気はないんです。
有名なシーンで、アメリが全盲のおじいさんの手をひきながら「目」になって街中の様子を言葉にしながら歩く、というのがあります。「看板の馬の耳がないわ。花屋のご主人の笑い声、笑うと目に皺が。この匂い、分かる?果物屋さんがメロンの試食を。(中略)赤ちゃんが犬を、犬がローストチキンを見てる。。。」
だけど、そんなアメリが相手に対して一言もしゃべらないシーンが最後のほうにあります。映画のクライマックスは、言葉がなくても観る側にちゃんと想いが伝わってくる。これはちょっとシビれるかも。そういうコントラストも素敵だなぁ、と。
確かにアメリは格別に変わってる女の子だと思うけど、私たちだって多かれ少なかれ「自分の事となると、てんでダメ」な部分があるような気がします。そういう意味で観る側はアメリに自分の姿を重ねやすいのかも知れません。
久々に観てまた素敵だなぁと思いました。