「せっかくここまで来たのだから、フランスの西の端へ行ってみない?」と、パトリックから嬉しいお誘いが。行く行く~!
夕方の晴れ間を狙ってクルマに乗せて貰い、地元ロードをつなぎながらどんどん西へ進みます。海の近くの家々の多くは白い壁に青い窓で、空や海とのコントラストが素敵。フランスって地方によって家の造りにそれぞれ特徴があって、見ているとじつに面白いかも。やがて到着したのは、フランスの西の果てにあるポワンデュラ岬(Pointe du Raz)。鋭く尖った岩山に白波がくだけて迫力満点!
※ただしここは惜しいところでフランス最西端の座を逃しているらしい。
あまりにも海が荒れている(ように見えた)ので若干ビビッていた私ですが「ブルターニュの海では白波が立つのは普通のことさ」と、ケロッとしているパトリック。ついでに言うと、台風か何かですかと思うくらいものすごい風が吹いていて、あとちょっとで空を飛べそうな勢いです。まさに地の果てという感じ。
岩山の岬とはうって変わって、周辺は長い砂浜が続いており素晴らしい散歩道になっています。砂浜にはサーファーが大勢集まっていて、大きな波が来るたびに器用に波を乗りこなしていました。そうか、フランスにもサーファーはいるんだな。彼らにとっては、ちょっと海が荒れているくらいが一番楽しいみたい。見ていると実にカッコイイのですが、それにしても寒くないのだろうか。
ちなみにブルターニュ地方というのは元々はフランス語ではなくブルトン語という全く別の言語が使われていたそうです。ブルターニュという地名も、ブルトン人から来ています。「ブルトン語というのはどちらかというと英語に近いんだよ。正確に言うとケルト文化の一部だね。だからここにはストーンヘンジのような遺跡が沢山残っているんだ。」
見ると、本当にあちこちに巨石で出来た遺跡が残されています。有名なストーンヘンジそっくりのものまであってビックリ。イギリスだけじゃなくて、フランス西端までケルト文化圏が広がっていたという事なのね。
「フランスに来たならクレープを食べなきゃ!」とパトリックが港のそばのクレープ屋(Crêperie)に連れて行ってご馳走してくれました。クレープってお菓子の事だと思っていましたが、どうやらフランスでは軽食と見なされているらしい。出てきたクレープを見てビックリ!なんか四角いんですけど!バターをたっぷり使った生地の中にはタマゴとハムが入っており、まさに軽いお食事モード。これがまた美味しいのです。(もちろんデザート用の甘い味付けのクレープもあります)
フランスって漠然とフランス人の国だと思っていたけど、本当にそれぞれの地方によって様々な文化が色濃く残っているんですね。例えばクレープひとつとっても、地方ごとに素材や味付けが変わるらしいです。特にここブルターニュ地方ではブルトン人の存在を強く感じます。例えば、あちこちの看板にフランス語とブルトン語の両方で地名が書かれていたりしてすごい不思議。聞けば、現在ブルターニュでは学校の授業でブルトン語を教えているそうです。
やっぱりその国に行って、地元の人に話を聞くまで分からない事がたくさんあるんだなあ。パトリックの話を聞いてから、フランスに対するイメージがどんどん拡大してきたような気がします。ブルターニュ地方に来て良かった!