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2009年12月31日

サハラ20年

年末で久々に実家に帰ってふと目がとまったのが、昔の自分の本棚に残されていたサハラ20年という写真集。久々に見たら、なぜか表紙のPPコートが黄色く変色してしまっていて非常にガッカリしたけれど、Amazonで見たらもう中古でしか手に入らず2万円以上もついてる(ちなみに定価は5800円)。うひー、大事にしなきゃ。

これは昔サハラをXR250で縦断したカミカゼ君が、私がアフリカに行くというのでプレゼントしてくれたもの。もう、10年以上前の話です。けど実は、まだその頃はサハラと言われてもあまりピンと来なかったかな。要するに現地に行った事がなかったので、写真みて「砂の世界かあ、夢のようだなあ、美しいなあ」とは思っても、実感が伴わなかったんですね。

6年前に帰国してからしばらくは色々あってアフリカの記憶から遠ざかってましたが、今回久々にこの写真集を手にした時、どういうわけか未だかつてないほど魅了されました。全ての写真は知っていたつもりでしたが、全ての文章(意外とボリュームある)に目を通したのはもしかしたらこれが初めてだったかもしれない。

著者の野町和嘉氏は序文でサハラをこう表現しています:
「。。。それは終末の世界、あるいは原初の光景というべきか……真昼の白熱と、満天の星空のもと、深い沈黙のなかに身を置くうちに、誰もが日常の世界では眠ってしまっていたある感性の目覚めを自覚するようになる。人は、神とは言わぬまでも、存在を超えた何かについて思いを巡らしている自分に気付くのである。。。」

こちらはサハラの端っこをかすめた程度しか知らないですが、それでも上記の一文はちょっと共感できる気がする。一度、大きな砂丘のてっぺんで乗ってたトラックがバーストして本格的に立ち往生したとき、焦るどころか不思議な平安の気持ちに包まれていたのを思い出したりね。いまはどうかって、東京じゃこうは行かないです。日々、仕事上のささいな事でカッカとしてるようではとても感性の目覚めからは程遠いかな。。。

ところで、これを貰った当時はガキだったので「サハラの写真集なんだから表紙をキレイな砂丘とかにすれば良かったのに」とか思っていたけど、いまではなぜこのターバンの男性が選ばれたのかも分かる気がします。彼はある部族の族長で、その気高く鋭い眼差しがサハラに生きる厳しさと美しさを全て物語っているからなのだと。ていうか、こんなにカッコいい写真集なかなかないよ!ありがとうカミカゼ君。

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