実はノボシビルスクを出発する時、セルゲイさんが「オムスクに着いたら、私の友達の家に泊まらせて貰うといい」と言って、とある電話番号を教えてくれたのです。えー、会った事もない人にいきなり泊めて貰うなんて失礼じゃないかなあ。でも、ミーハなんか「初めて会う友達の友達」にガンガン電話しまくって泊めて貰ってた事を思い出し、よーし私もやってみよう!と、セルゲイさんのお友達に初の電話。
待ち合わせの番地を教えてもらい、GARMINのナビを頼りにオムスクの中心街へ。。。そこで出会ったのは3人の同世代のマスコミ業界人でした。さ、さすがセルゲイさんのお友達、フツーじゃない。まずオムスク屈指のTVプロデューサー、ナイル。ロシアから一歩も出た事がないというのに英語ペラペラな美女のナターシャ。そして快く泊めてくれた愉快なジャーナリストのリーザ。
ロシアのTV業界でプロデューサーとして活躍するには、TVとは全然関係ないような雑用も含め、ありとあらゆるジャンルの経験に精通しなければならないそうです。「ナイルはオムスクで最も成功しているプロデューサーの一人なのよ」と、ナターシャ。ふとナイルを見ると、39歳とは思えない若々しさで「TVの仕事なんて全然儲からないけど、僕はこの仕事が大好きなんだ。毎日とても楽しいよ」と一言。うわー、なんて爽やかな人なんだろう。私もいつかそんな台詞を言える人になりたい!
実はこの日の晩、ナイルの幼なじみのリーザのフラット(集合住宅)に皆で一緒に泊まらせて貰いました。シャワーを浴びさせて貰い、洗濯までさせてもらって、至れり尽くせりのおもてなしです。そしてリーザが台所で野菜を刻んでアクローシュカという料理を作っているあいだ、みんなキッチンに集まって、ちょっとしたホームパーティ状態。「ロシアでは友達同士が集まったら、どんなに狭くても必ずキッチンでおしゃべりするの。料理も、友情も、愛も、アイデアも、みんなキッチンから生まれるのよ」
ナターシャの素晴らしい同時通訳のおかげで、ナイルやリーザたちともたくさんおしゃべりする事が出来ました。実はナイルは画家でもあり、個展を開いたりしていることとか、リーザには一人息子がいて夏休みでキャンプに出かけている事。。。などなど。そんな3人に私のカタコトの下手くそなロシア語を披露したら、みんな大爆笑でした。これって喜んでいいのか(^_^;)
実はこの日は平日で、みんな翌日は会社で仕事があるというのに快く私を泊めさせてくれたのはびっくりです。私だけ12時ごろに先に休ませてもらったのですが、3人はその後徹夜モードで散歩したりしながら積もる話に花を咲かせていたらしく、戻ってきたのは朝4時ごろ。えええーみんな30代後半だっていうのに、行動がまるで青春の真っ只中なんですけど!ナイルとリーザは、翌朝ほとんど寝ないまま出勤していきました。いやー、自分も少し見習って青春を取り戻そう。
ナターシャだけは自営業がオフだったので、翌朝は2人でゆっくりと話すことができました。彼女は34歳で私と1つ違いです。中国系の混血だという彼女は、目を見張るほどの美女でホント羨ましい。朝食のパンとサラダを食べながら、人生のあれこれについていろいろ話し合っていたところ、なんと彼女も私が旅行に持参したのと同じ本(正体不明のロシア人作家の超マイナーな怪しい本)のファンだった事が分かって超ビックリ。どうしてこういう面白い出逢いばかり降ってくるんだ。
ロシア社会が期待する女性としての役割(結婚し出産すること)と、自分のあり方を中心に据えた自由な生き方のはざまで揺れ動く彼女。ソビエト時代の影響が色濃く残るこの国で、社会が用意したお仕着せの価値観から自分自身の価値観にシフトするのは、とても勇気のいることだと思います。だけど、ナターシャはきっと思うとおりに前進してゆくに違いありません。話を聞いていたこちらまで目が覚めてくるような感じ。
オムスクでこんなに魅力的な3人に出会えて本当に良かったです。一宿一飯の恩を超える何かを貰ったような気がします。みんな、本当にありがとう。(その後、ナイルがこんなエントリを書いてくれました)