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2010年7月18日

天界へようこそ

奥地へ進むほどアルタイの風景はその荘厳さを増し、幹線道路(M52)は雄大な山あいの渓谷に沿って進みます。このあたりは坂が多いので、3人乗り過積載ワゴンRにはちょっと厳しいですが、こんな夢のような所を走れるなら時速30kmでも頑張れます!

この日、ちょうどAktashの町にさしかかった所で日が暮れかかってきました。とりあえず町に寄って軽く買い物でも。。。と思ったら、ミーハが町の人に何か聞いています。「ナオコ、この町の奥を30kmほどいった所に湖がいっぱいあるらしい。そこでキャンプしよう」「ええっ!幹線道路を外れて山道を行くってこと?道はどうなの?舗装されてるの?」「ずっとダートだって。でもそんなにひどくないって言ってた」「ええええそんな未確認情報はいやあああああ~~!!!」

。。。なんて私の個人的な好き嫌いをミーハ達が考慮してくれる訳はなく、2人の頭の中はすでに湖でキャンプしたいモードに切り替わっておりました。だいたいアルタイ地方というだけで山岳地帯(ド田舎)なのに、そこからさらに細い枝道に入るってどういうこと?しかも30kmもダート?もう全然意味が分かりませんが、外国人ドライバーに拒否権なし。(T_T)

そのルートがAktashからUlaganに向かって北上する山道らしいという事は、GARMINの表示で確認できました。そして案の定、町から10kmもいかないうちにもうダート。しかも見たこともないような急坂だし。いやあああこんな急勾配、舗装路だってイヤなのにドロンコ道ってどういうこと~!!? 2速に入れても全然のぼらねーし!(過積載なんですよ)

泣きそうになりながらダートを走り続けると、やがて比較的フラットな路面に変わりました。だけど今度は延々とコルゲーション(波状路)が続きます。いやあああガタガタ言って怖いい~~!「ナオコ、もっとスピード出せ!こういう道はゆっくり走っちゃダメだ」と教育的指導が入り、ワゴンRが大破する恐怖と戦いながらベタ踏み60km/h(坂道のためこれが限界)でひたすら走り続けます。

そして30kmくらい行った所で。。。ふと気がついたら、見たことも無いような美しい高層湿原があたり一面に広がっているではありませんか。そして7月だというのに雪が残る山々の頂がそこかしこに見られます。今までと全然違う風景です。見た感じかなり標高が高そう。GARMINで調べたらなんと標高2100mでした。Aktashの町が1300mですから、800mくらいを一気にかけのぼった事になります。ひょえ~、急坂だったわけだ。

湖はあちこちにいくつもあったのですが、ワゴンRが湖畔まで降りられそうな湖はなかなかありません。やっと見つけた小さな湖のほとりに、おそるおそるワゴンRで降りていきます。アレクサンドルの誘導で湖畔まで行ったら、やたら勾配のきつい所に駐車しろって言うし。大丈夫か?明日脱出できるのかコレ?(※案の定、脱出できなくて押して貰ったんですけど)

それにしても、例えようがない位美しい風景です。。。湖のほとりの湿原には色とりどりの花々が咲き乱れ、針葉樹の森が鏡のようにして水面に映えています。そして奥にそびえる真夏の雪山が、まるで「天界へようこそ」と微笑んでいるようです。大丈夫か私。まさか途中で死んじゃったりしてないだろうな。天使とかがその辺を歩いてたらイヤだぞ。

こんな天国のような所で、ミーハとアレクサンドルはお構いなしにぼんぼん焚き火を燃やしています。本日の献立はグリェーチカという穀物をゆでたもの。ご飯のような感じです。「こんな食べ物初めてだよ」と言ったら、「えっ、日本にはグリェーチカがないの?うそでしょ!」とミーハ。その位ロシア人にとっては身近なものらしい。牛肉の炒め物と和えてくれました。美味しかった~。

こんな高層地帯ですから、夜はもちろん寒いのです。夜の気温は10℃以下(?)で、吐く息は真っ白。私は迷わずホッカイロ使用。ミーハ達にも勧めたら「僕らはそんな軟弱なもの要らない」と却下され。でも飲料水の入ったペットボトルを丸ごと焚き火にくべて湯たんぽ作った形跡があったんですけど。うん、そのほうが君達らしくてイイかもね。

※あとでセルゲイさんに聞いたら、ここはUlagan峠と呼ばれるところで、知る人ぞ知る秘境だそうです。しかも、我々のキャンプした所が最も標高が高く美しい場所だったらしい。本当にここへ来れたのは偶然だったんですけど、ミーハ達の思いつきに従って旅すると面白い事がいろいろあるものです。

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