イルクーツクから寄り道せずにひたすら4日間走り続け、だんだんノボシビルスクが目前に迫ってきました。ミーハは親友のアレクサンドルと再会するのが楽しみで、朝からゴキゲンです。「僕らはねえ、約束したんだ。僕が東の果てのウラジオストクから、アレクサンドルは西の端のロストフ・ナ・ドヌー(モスクワ南西の町)から、2人で同時にヒッチハイクを開始して、ロシアのちょうど真ん中にあるノボシビルスクで合流しようって。その後は2人で一緒にアルタイ方面へヒッチハイクするんだ。」
そうか、ミーハがヒッチハイクしてたのは、そういう壮大な計画があっての事だったのか。そんな事を思いつくなんて、すごいなあ2人とも。アレクサンドルも同じ24歳らしいけど、どんな人なんだろう。
「アレクサンドルの奴、破格なんだ。どうやら財布も携帯も持たずにヒッチハイクして、もうノボシビルスクに着いてるらしい。」「ええっ!?じゃあ今までどうやって連絡取り合ってたの?彼は今どこに滞在してるの?」「奴と連絡なんか取れないよ。共通の友達がいて、彼はそこを頼っていったらしい。しかも話によると、ノボシビルスクでバイトまで見つけて働いてるって。」「マジで!?」
アレクサンドル、恐るべし。。。
■Mariinskで道を間違える
しかし途中のMariinskという町でハプニングが。実はこの町は、西へ向かう幹線道路が3本くらいに分かれている要所なのですが、看板がちょっと不親切。今までずっと「ノボシビルスク」の表示を頼りに走ってきたのに、Mariinskに入ったとたんに「トムスク」の表示だけになってしまうのです。もちろんトムスクを経由してもノボシビルスクへは行けますが、途中にダートがある上に走行距離も余計にかかります。
実際はMariinskからノボシビルスクまでの舗装路での最短ルートはKemerovo方面へ抜けることです。しかし見る限りKemerovoと書いてある看板はひとつしか無かった。。。ので、何も知らない我々は、そのままひたすらトムスク方面へ走り続け「しまった」と気付いたときには往復80kmのロス。Mariinskに引き返してやりなおし。ああああこっちは急いでるのに~。。。Mariinskには気をつけましょう。
ちなみに、Kemerovoは大きな町です。幹線道路(M53)も北から入って南に抜けるような形になっていますが、こちらはノボシビルスク行きの看板があちこちに立っているので、まず迷うことはないと思います。
■そしてアレクサンドルに再会
そして9時ごろ(まだ全然明るい)になってやっとノボシビルスクに到着。予想はしていましたが、イルクーツクよりも遥かに大きな町で、市街地図のない我々は到着早々道に迷います。ミーハはアレクサンドルの居場所が書かれた住所を頼りに、通りすがりの人に道を聞きまくってなんとか街の中心地へ。私は交通量の多い都市部の運転に全く不慣れで、かなりビビりながら運転してました。。。
そしてついに!ミーハは親友のアレクサンドルと感動の再会!!アレクサンドルはミーハほど英語が堪能ではないけれど、とても紳士的な若者です。出会ったとき、彼はノボシビルスクの開店前のバーで、内装工事のバイトをして働いていました。いやホントすごい、どこでも生きていけるタイプだな~、きっと。。。
こんな風に東西から同時にヒッチハイクして、ロシアの中央で合流するなんて、なんとも粋で大胆な計画を思いつく2人に、言い表せない感動をおぼえる私でした。私のワゴンRが遅いクルマだったせいで、ミーハのほうが到着が遅れてしまったけれども(そしてヒッチというより、ミーハ専属車両みたいな扱われ方だったけど)、こんな瞬間に立ち会えるなんて、なんだか私まで光栄です。
■セルゲイさんの豪華マンション
「ナオコ、ここまでずっと走りどおしだったから、ノボシビルスクで思う存分休むことにしよう。大丈夫、僕らを泊めてくれる人がいるんだ。」とミーハ。うわあ、またもやミーハの人脈で泊めさせて貰えるなんて有難い。連日の蚊だらけキャンプ続きで、煙にいぶされまくった私の身体からは燻製のような怪しい香りが漂っています。
そして到着したのは、「バラダ(ひげ)」というニックネームのミュージシャン、セルゲイさんの豪華マンション。内装も電化製品もすべて極めて洗練された一流品で整えられており、私の今までの半野性的なロシアのイメージが完全にひっくり返りました。デザイナーズそのもののこだわりの内装、オール電化のキッチンに全自動洗濯機、清潔なトイレ、最新型のPCとルータ、キャノンのデジタル一眼レフ。うおおおおこれ本当にロシアかーーー!!!
セルゲイさんはミーハのお姉さんの友達だそうで、何でも互いに今日が初対面だそうです(またか!?)。縁のあるミーハはまだ良いとして、見ず知らずのアレクサンドルとヘンな日本人(私)の3人で押しかけたというのに、「私は今月はオフだから、みんなで1週間くらいゆっくりしていくといい」とにこやかに迎えてくれたセルゲイさん。ああ、ロシアってすごい。こういうホスピタリティー精神はどこからやってくるんだろう。。。
御殿のようなバスルームでありがたくシャワーを浴びさせてもらい、3人で寝袋を持参して、ふかふかのソファでぐっすり休ませてもらいました。はぁ~、ここは天国だ。。。。